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日常カテゴリは鬱々とした暗いものが多いのでご注意をば…


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指を硝子越しに合わせてあなたは言った。

「割れないね」

薄い膜みたいな硝子越しにあなたは笑った。
その笑顔が歪んで見えるの。
悲しいね。

「割ろうとしないからよ」
「そうなのかな」

あなたは綺麗な笑顔をつくって首を傾げた。
指先だけを合わせて、見つめあう。

「それなら…」

傾いた顔の整った唇が動く。

「どうして君は割らないんだい?」
「………」

ほんの少し力を籠めれば、硝子はいとも容易く皹入って、あなたの顔を更に歪ませるだろう。
そう。
この指先に、ほんの少し。

「割れたら、あなたが困るからだわ」

だから、わたしは待っている。
あなたが割るのを待っている。
でもあなたはそうしない。
解っていても、見つめあう。

「…君はマゾだよね。僕はそんな君が大好きだ」
「知ってるわ」

突き放すように、言った。
クスリと笑ったあなたは反対側に首を傾げた。
不自然な微笑み。
寒気がするほど気持ちの悪い微笑み。

「頭の良い君は、嫌いだ」
「奇遇ね。わたしもよ」

ゆっくりと、あなたに合わせて首を傾ける。
あなたはわたしに何を求めるの。
わたしはあなたに心を求めるの。

「…わたしとあなたは、ある意味同類なのよ」
「…違いない」

舌を出してみせれば、呼応するようにあなたの紅い舌が硝子をなぞる。

「どっちが先に、壊れるかな…」

伝う唾液、声に揺れる硝子。
歪んでいく。

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material by 青の朝陽と黄の柘榴

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